秋の夕日は釣瓶落とし 「夕焼けが綺麗だなぁ〜...」なんて見惚れていると 何時の間にか夜が直ぐそこまで来ている 子供の時など遊びに夢中になっていて ハッと気が付いたら辺りがもう暗くなってしまって 心細くなりながら家路へと急いだ...なんて記憶 どなたにでもあるのではないかしら。 陽気に遊び場を提供してくれていたお寺や神社の境内も 何やらその様子が昼間と異なって見えはじめてくる。 あれほど格好の「秘密基地」だった鳥居の近くの 小さな空き地も夜は子供の場所ではなくなる。 もう少し空が高くなり、空気がもっと透明になり 昼間と夜の時間が丁度半分づつになる頃 いつもはただの細い道しかない場所に 何故か一斉に彼岸花が狂ったように咲き乱れ、 炎のような花の勢いに 毎年圧倒されてしまう。 桜の季節の物狂わしい程の花の咲き方も 人の心を奪う程の力を感じるけれど 秋にヒッソリと咲き乱れるこの彼岸花の群生に出逢うと お彼岸の中日とも重なって 冥界へと旅立っていった、大切な人々のことを しみじみと思い出す機会ともなる。 彼岸花の燃えるような赤は情念の赤にも通じて 生々しい人の生や性をも連想させて 凝視していると息苦しくさえなってくるようだ。 迫力ある存在感に気圧されてしまうのだ。 |